何をやっても平凡な私だけど、どうやらハッキングの才能があったみたいで。

 だったらホワイトハッカーにならないか? ってお兄ちゃんに言われ、フリーのホワイトハッカー【スピカ】として活動し始めることになったというわけ。

 仕事を受ける窓口となってくれているのがお兄ちゃんで、私がハッキングをしてるんだ。
 まさか依頼主(クライアント)は夢にも思わないよね。天才ハッカー・スピカが実は中学生なんて!

 もちろんこのことは誰にも秘密。
 美織には話してあるけど、どうしてハッカーになったのかは話してない。

 だって、美織の悪口を書き換えるのがきっかけなんて言えないでしょ?
 美織には絶対に傷ついてほしくないの。

 美織はみんなを笑顔にするアイドルだから、美織の笑顔は私が守るんだ。


「お兄ちゃん、わかったよ。感染元はこのファイルみたい」

「さすがはスピカ。仕事が早いな」

「多分誰かがスパムメールを開いちゃったんだろうね。これ、トラップだよ」

「このウイルスどうにかできるか?」

「任せて」