話を聞きながら俺も片付けを手伝った。
スピカという天才ハッカーの存在は噂に聞いていた。
俺の目を盗み、すばやくハッキングでエレベーターを動かしてしまった腕前を見た時、こいつがスピカなのだと確信した。
まさか同じ中学にいるとは思わなかったけどな。
しえるは一見普通の女子中学生なのに、ハッキングのことになると目の色が変わる。
凄まじい集中力とテクニックであっという間に成功させてしまう。
ハッキングしている時のしえるはイキイキとしており、自分に突破できないものはないという自信に満ちあふれている。
その姿がすごくカッコいいんだよな。
「私ね、スピカだってことはお兄ちゃん以外には秘密だったから誰かに感謝されたことがなかったの。でも、Stergazeの仲間になってこんな私でも役に立てるんだって知って、すごく嬉しかったんだ」
しえるの瞳はキラキラと輝いていた。
「もっともっとハッカーとしての腕をみがきたいなって思ったの!」
今でも充分すごいのに努力を惜しまないその姿勢は、純粋にすごいと思った。



