「もし美織ちゃんに何かあったらしえるにも顔負けできないし」
「え、私?」
「だってしえる、美織ちゃんのことすごく大事に思ってるだろ? さっきもさ、蒼真にああやって言われて悔しかったんじゃないかと思って」
隼人くん、気づいてたんだ……。
「うん、でも蒼真くんの言う通りだと思うよ。私じゃ足手まといになるだけだと思う」
「だったら俺、しえるの分まで頑張らないとだろ。もっと強くなって、美織ちゃんのこと守るからさ」
「隼人くん」
隼人くんがとても真面目な表情でそう言ってくれたことが嬉しかった。
私の気持ちも汲んでくれるなんて、優しい人なんだな隼人くん。
「ありがとう、隼人くん。美織のことよろしくね」
「おう!」
それから隼人くんは何か思いついたように言った。
「なぁしえる、一緒に空手の稽古してみないか?」
「えっ、空手? 無理無理、やったことないもん」
「俺が教えるよ。楽しいぜ!」
体育の授業で柔道ならやったことあるけど、ものすごくへっぴり腰だったんだけど大丈夫かな?
でも隼人くんの人懐っこい笑顔に何となくノーとは言えなくて、一緒に空手の稽古をすることになった。
空手の部室にあった予備の道着を借りることにした。



