何となくのぞいてみたら、そこにいたのはなんと隼人くんだった。
道着を着て空手の稽古をしているみたい。
「ハーッ!」
すごくカッコいい。
空手の型っていうのかな? ビシッと決まって迫力がある。
したたる汗ですら様になっていてとてもカッコいい。
私は思わず見入ってしまった。
「ふーー……」
パチパチパチパチ。
私は自然と拍手を贈っていた。
「えっ! しえる?」
「すごいね、隼人くん! カッコよかったよ」
「いやあ……」
隼人くんは照れくさそうに頬をかく。
「こっそり練習してたのに、恥ずかしいな」
「隼人くん、空手部なんだね」
「まあな。これでも小学生の頃は空手の大会で優勝したんだ」
「わっ、すごい。もしかして大会が近いから練習してたの?」
「いや、そういうわけじゃなくて」
隼人くんは何故か歯切れが悪い。
「えっと、俺美織ちゃんのボディガードになったから、ちゃんと守れるように稽古しようと思ったんだ」
「え……隼人くん、今もすごく強いのに?」
「任されたからには、しっかりやりたいんだ」
そう言った隼人くんの表情はとても真剣だった。



