蒼真くんは全員の顔を見回して言う。
「もしかしたら犯人は案外近くにいるのかもしれない」
「えっ、なんでそう思うんだ?」
怪訝そうに隼人くんが聞く。
「だって球技大会のことを知っていたんだぞ? 天ノ川学園の関係者かもしれないな」
「あっなるほど!」
隼人くんはポーンと手を打つ。
「じゃあ案外近くにいるのかもしれないのか!」
「それさっき蒼真くんが言ったよ~」
理央くんがいうと「そっか!」と隼人くんが笑う。
なんとなく空気が柔らかくなったような気がした。
「とにかく、犯人が近くにいるかもしれない。隼人、お前は美織のボディガードを頼む」
「あいあいさー!」
隼人くんはビシッと敬礼ポーズをする。
それを聞いた私はやや慌ててたずねた。
「えっ、なんで隼人くんなの? 私だって美織のこと守れるよ!」
「隼人は強い。同じクラスだし一緒にいても自然だろ」
「わ、私だって……っ!」
「しえるを危険な目に遭わせるわけにはいかない」
「っ!」
「言っただろ、あんたのことも守るって」
「蒼真くん……」
……前にも言われたけど、やっぱり心臓がドキドキする。
「スピカ、あんたはハッカーだ。戦闘員じゃない。自分のやるべき役目を果たすんだ」



