「あのB組の子、誰かにそそのかされたみたいだよ」
球技大会の後日、みんなでアジトに集まっていた。
廉くんが色々調べてくれたみたいで、タブレット端末をいじりながら報告してくれた。
「彼女の名前は、岡村サヤ。劇団に所属していて子役時代から活躍してる。僕も一回共演したことあるよ。ただ、最近はオーディションに落ちることが多くて上手くいってなかったみたいだね」
「だからって美織に逆恨みするなんて!」
「それが、最初はそうでもなかったみたいなんだよ」
「どういうことだ?」
蒼真くんが険しい表情でたずねる。
「最初はオーディションに落ちたのは自分の実力不足だって思ってたらしい。でも、後日知らない男に言われたらしいよ。あのオーディションは美織ちゃんが主役で決まっていた出来レースだったって」
「それは違うよ!」
美織にしては珍しく大きな声をあげる。
「あのドラマのオーディション、ずっと挑戦してみたいと思ってた。でも何故かうちの事務所への連絡が遅れて、応募がギリギリになってしまったの」
「ギリギリになって応募したんなら美織ちゃんが参加するなんてわからなかったし、無理だよな」
隼人くんがうーむ、と首をひねる。



