同点に追いつかれたまではまだ良かった。
切り替えて頑張ろう! って思えたから。
だけど、それから空気がおかしくなる。
「いたっ」
美織がボールを持つと、一気に三人が取り囲んで無理やりボールを奪う。
かなり接近して体が美織に当たってる。
てゆーか、わざとぶつけてない?
「きゃっ」
ついに足を引っかけて、美織が転んでしまった。
「美織! 大丈夫!?」
すぐに美織に駆け寄った。
血は出ていないけど、膝を少し擦りむいたみたいだ。
「すぐ保健室に行こう!」
「擦りむいただけだから大丈夫だよ」
「ダメだよ!」
「大丈夫、まだ頑張りたいの」
そういって美織は立ち上がる。
「わたしだって、みんなの役に立ちたいから」
「美織……」
美織のけなげさに胸がジーンとしながら、私は審判に向かって言った。
「さっき、わざと足を引っかけたと思うんですけど」
「そうでしたか?」
「絶対そうです!」
「見てないのでわかりません」
な……っ、ひどい!
誰が見ても明らかなラフプレーだったのに!
B組の女子たちは私たちを見てクスクス笑っている。
やっぱり絶対わざとだったんだ。



