スパイラル・コード〜内緒でハッカーやってたら、最強アイドルにバレちゃいました〜



 ボールはキーパーの手に当たったけど、運良く弾いた。
 そのままボールがゴールの中に吸い込まれる。

 ピピーッ! とホイッスルが鳴った。


「やったあ! すごいよ、しえる!」


 美織が嬉しそうに私に抱きつく。


「やったね、星咲さん」

「やるじゃん!」

「あはは、たまたまだけどね」


 他のチームメイトの子たちも喜んでくれて、ラッキーとはいえゴールを決められた嬉しさをじわじわと噛み締めた。

 客席では隼人くんが手を叩いて喜んでくれていて、蒼真くんが私に向かってグッと親指を突き立てた。
 その様子にまたドキドキしてしまう。

 あの時、蒼真くんが声をかけてくれたからシュートできたんだよね――。


「よし、この調子で頑張ろう!」

「うんっ!」


 先制点を決められたことでチームの士気が上がる。
 編入してから美織以外の友達がいなかったけど、この球技大会でクラスのみんなとも仲良くなれたらいいな。

 失敗を恐れずどんどんシュートしていこう!
 ハッキングだって失敗を恐れていたら前に進めないもんね。

 そう思っていたけど――、


「B組、一点!」


 あっという間に追い上げられて同点に並んでしまった。