あれ? なんか蒼真くん、ちょっとムスッとした顔してる?


「一番じゃないってはっきり言われるのはちょっとな」

「あっ、ごめんなさい! でも美織は親友だし、特別っていうか」

「じゃあ、あんたが一番推してるアイドルになってみせるよ」


 ――えっ!?
 ど、どういうこと!?


「だから、一番は美織だって……!」

「でも親友なんだし特別枠だろ?」


 まあ、特別枠と言えば特別枠なのかな……?


「だから、アイドルとして一番推すのは俺じゃダメ?」

「え、ええっ?」

「ダメじゃないよな? てゆーか推させてみせる」

「〜〜っ!?」


 もしかして今――、特大のファンサービスを受けてる?
 ファンだったら卒倒しちゃうやつだよね!?


「いいんだよな? しえる」

「ふえっ!?」


 初めて名前を呼ばれて、今までにないくらい心臓がうるさくなった。
 蒼真くんに聞こえてしまうんじゃないかというくらい。

 アイドルとしてのファンサービスだとわかっていても、やっぱりドキドキしてしまう。
 深い意味なんてないって、わかっているのに。