理央くんによると、一般的なスマートフォンを理央くんが改造して盗聴、逆探知などを完全に無効化するらしい。
他にもスパイ活動に便利なアプリが入ってる優れものなんだって。
「しえるんのはハッキング特化にしてあるよ。USBも色んな差し込み口用意しといたから〜」
「えっ! すごい。ありがとう」
「ボクは蒼真くんに言われた通りに作っただけだよ〜」
「蒼真くんが頼んでくれたの?」
私は蒼真くんの方を振り返る。
「どんな状況でも対応できるようにな。あんたには期待している」
期待している、って言われてちょっぴりドキドキする。
「頼んだぞ、スピカ」
「うん、期待に応えられるように頑張る!」
私は普段から何をやっても普通。
勉強が特別にできるわけじゃないし、運動神経もいい方ではない。
他に特技があるわけでもないから、誰かに期待されたことなんてなかった。
ハッカーだってことは誰にも言えない秘密だし、誰かに感謝されることもなかったから――こんな私でも役に立てるんだって思った。
期待されている分、頑張りたい。
美織のことは絶対に守ってみせる!



