美織はこくんとうなずく。


「楽屋に『歌番組の出演を取り消せ』っていう手紙があって。最初はイタズラだと思って誰も気にしてなかったの。でも、衣装がビリビリに破られてたんだ」

「えっ、衣装が?」

「うん。私は早めに着替えてたから大丈夫だったけど、他のメンバーの衣装は全部ボロボロだった。マイクは全部壊されてて、『こんな目に遭いたくなかったら出るな』って……」

「そんな……」

「だからみんな怖くなっちゃって、昨日は出演を見合わせるしかなくて……」


 震える美織の手をぎゅっと握りしめる。


「大丈夫だよ、美織。私がついてるから」

「しえる……」

「私が犯人を突き止める!」

「えっ、しえるが?」

「私は天才ハッカー・スピカだよ。スピカに不可能なんてないんだから」

「しえる、ありがとう……!」


 美織はポロポロと涙をこぼす。

 美織をこんな風に泣かせるなんて、絶対許せない。
 ファンを笑顔にするために頑張ってるんだから、それを邪魔する権利なんてない。

 絶対犯人を突き止めてみせる……!!