私はスピカのアプリを立ち上げてハッキングを開始する。

 えーと、どれどれ。なるほどね。

 スマホを確認するフリをして超高速でハッキングを進めていく。
 スマホからだと入力がすごく疲れる……!

 でも、案外複雑じゃなくてよかったな。
 この回線を復旧させれば動くはず!

 アプリに「Mission Complete」の文字が表示される。

 その直後、ガタンという音がしてエレベーターが動き始めた。


「あ、直った?」

「直ったみたいだね!」


 私は急いでUSBケーブルを引っこ抜く。


「よかった、案外早く動き出して」

「あ、危ない!」


 急にエレベーターが動き出したからか、私は慌てていたのもあってよろけてしまう。
 倒れそうになったところを蒼真くんが支えてくれて――、


「大丈夫か?」

「だ、大丈夫……!」


 うわあ、顔が近いよ……!

 蒼真くんに抱き止められる形になった上に、綺麗な顔が至近距離にあって思わずドキッとしてしまう。


「あ、ありがとう」


 やっぱり蒼真くんってカッコいいな。
 みんなが騒ぐ理由がわかる気がする。