なんて、ファンからしたら夢のようなシチュエーションだと思うけど、私にとっては最悪だ。

 もし蒼真くんと二人きりで閉じ込められたなんて知られたら、ファンに殺される!

 それだけは絶対イヤ!!


「あんた、スマホ持ってる?」

「持ってるけど」


 私は一旦資料を床に置いた。


「誰かに連絡できる?」

「えーーっと……」


 優香と梨沙にヘルプしてみる?
 でも今、隣に蒼真くんがいるんだよなぁ。

 美織は今の時間だと学校にいないと思うし。


「できる人、いないですね……」

「マジかよ」


 だってこの状況を見られたら絶対誤解されるじゃない!
 私は平穏な学園生活を送りたいのに!


「一応廉にメッセージ送ったけど、気づくかな」


 蒼真くんは考え込む仕草をする。
 考えている横顔すらもカッコよくて様になる。

 連絡はできないけど、エレベーターを動かせるかもしれない。


「……だけど、蒼真くんに見られちゃマズイんだよなぁ」


 とりあえず今はスマホでメッセージを打っているようなので、私はそろそろとエレベーターのボタンに近づいた。

 ――あ、USBを差せそうなところ発見。

 ここから差し込んでどうにかできるかも。