もう最後は祈ることしかできない。
 指がつりそうになりながら懸命にタップし続けた。


「………あ、」


 爆弾の数字がちょうど一分で止まる。
 残りあと一分というところで、なんとか止められたみたいだ。


「止まった!」

「何!? そんなバカな!」


 先生は明らかに動揺していた。
 その隙を狙い、蒼真くんは先生の腹に強烈な一撃を食らわせた。


「ぐっ……!」


 うめき声をあげてその場に崩れ落ちる先生。
 蒼真くんは素早く両手に手錠をかける。

 そして私に駆け寄って来てくれた。


「しえる! 大丈夫か!?」

「うん! 蒼真くんこそ怪我してない?」

「大丈夫だ」


 そうは言うけど、腕から真っ赤な鮮血がしたたっている。


「嘘! 怪我してるじゃない!」

「こんなの大したことない」

「そんなことないよ! 早く手当てしなきゃ」

「本当に大丈夫だ」


 蒼真くんは両手でそっと、私の頬に触れる。


「しえるが無事で本当によかった……」

「蒼真くん……」


 蒼真くんに笑いかけられたり、触れられるとすごくドキドキする。

 蒼真くんがそばにいてくれるだけで心強いし、勇気をもらえる。

 ああ、そうか。
 私はとっくに蒼真くんのことが好きになっていたんだね――。


「帰ろう、しえる」

「うん」


 アイドルを推すファンとしての好きじゃない、私は蒼真くんに恋をしているんだ。