* * *
【しえるside】
「ここだ……」
犯人がいると思われるのは、この先の部屋だ。
鉄の扉でもちろん鍵がかかっている。
私はカタカタとキーボードを叩き、ハッキングを開始した。
「むう……ここのセキュリティは厳重だ。二重のパスコードが必要みたい」
「いけそうか?」
「やってみる」
螺旋みたいな複雑に絡まりあった糸を伸ばしてたぐり寄せて、正解に行き着く一本を探し当てる。
そんなイメージだ。
邪魔をしてくる障害物やニセモノもあるからとにかくフクザツ。
でも諦めない。
ハッキングは意外と根気強さが必要になる。
ここまできて諦める選択肢なんてない!
「! 解除できた!」
「本当か!?」
まもなく鉄の扉がゆっくりと開く。
最後の関門は難しかったけど、何とか突破できたみたいだ。
「ありがとう、スピカ。ここからは俺に任せろ」
蒼真くんはジャキッと拳銃を構える。
私の前に立ち、ゆっくりと中へ踏み入れる。
私も油断しないように気をつけながら、蒼真くんの後に続いた。
「まさか、本当にここまでやって来てしまうとはね」



