「――廉くん、みおりん。何してるの〜?」
理央くんの声でハッと我に返った。
「早くここから脱出しないと」
「そうだね。美織ちゃん、立てるかな?」
「は、はいっ」
廉くんは手を差し伸べてくれた。
私の心臓はまだバクバクしてるのに、廉くんは普通だ。
こんなにドキドキしてるの、私だけなんだろうな。
あ、そうだ。そんなことより、しえるは大丈夫なのかな?
「あ、あのっ、しえるは無事ですか?」
「大丈夫。すごい活躍ぶりだよ」
「しえるんもみおりんのこと心配してたよ〜」
「そうですか……よかった」
しえるが無事でよかった。
しえるはああ見えて強いけど、それでも心配だった。
「早くしえるに会いたいです」
「二人は本当に仲良しなんだね」
「はいっ! 親友なので!」
「ちょっと妬けちゃうね」
え? やけちゃうってどういうこと?
「二人が仲良すぎて妬けちゃう」
「っ!?」
また耳元でささやかれてしまった……!
しかも今のって、どういう意味なの?
だけど廉くんはニコッとほほ笑むばかり。
まるでまた「ヒミツだよ」って言われてるみたい……。
ドキドキしたまま、私たちはこのビルから脱出した。
あとはしえるたちが無事に帰って来てくれることを祈るばかりだった。



