初めて廉くんのことを知ったのは、TV画面の向こう側だった。

 たまたま見ていたドラマに子役で廉くんが出演していたの。
 両親が離婚することになり、母親と別れるという悲しいシーンだった。

 涙を流して母親との別れを惜しむ廉くんの演技は、胸にグッとくるものがあって自然と涙をこぼしていた。

 それから廉くんのことが気になって、彼の出演するドラマや映画を観るようになった。
 その後Stergazeのメンバーとしてアイドルデビューした廉くんは、いつも王子様のように輝いていた。

 私がアイドルになりたいと思ったのも、廉くんみたいになりたいと思ったから。
 少しでもこの人に近づきたいと思ったから。

 でも、私たちはアイドルだ。
 廉くんと恋がしたいわけじゃない、なのに――


「……ダメだよ、廉くん」


 こんなことされたら、もっと好きになっちゃうよ……。

 好きになったらダメってわかってるのに。


「……じゃあ、今のはヒミツだよ」


 コソッと耳打ちされて、また心臓が飛び跳ねる。


「っ!」

「二人だけのヒミツね」


 しーっ、と人差し指を唇に当ててほほ笑む廉くんがカッコいい。
 やっぱり私、廉くんのこと……。