響け、希望と愛の鐘

優美は事務所のデスクで、300人規模の全国デモの最終準備に追われていた。

佐藤健太の監禁から救出されて数日、優美の心にはまだ恐怖の余韻が残っている。

 仲間たちの支えが彼女を前に進ませていた。

スマホには賛同者のメッセージが溢れる。

『優美さん、監禁から日が経ってないのに強い!』

『全国デモ、絶対行く!』

 だが、佐藤の逮捕後も、匿名アカウントからの嫌がらせは続く。

 『自由空間の会は終わらない』

 『お前のデモ、潰す』。

 そんな言葉は、すぐさまデモ活動の賛同へのコメントに変わった。

 矢吹さんのハッキング、ある意味ホラーだなぁ。

 優美は近くにあったコーヒーを飲み干して、深呼吸をした。

 スピーチ原稿に目を戻した。

 「私たちは一人じゃない。
 安全は私たちの権利」。

ドアが開き、ハギくんが飛び込んできた。