響け、希望と愛の鐘

倉庫の鉄扉が大きな音を立てて開いた。

「優美先輩!」

ハギくんの声が響いた。

ハギくんは、佐藤に飛びかかるやいなや、華麗に一本背負いをした。

雇われた男の方には、一斉に鳩や烏が男の身体をつついていた。

「何だ、コイツら!
 は、離れろ!」

 ずっと倉庫入り口にいた男が、鳩や烏に顔や身体をつつかれている最中のもう1人の男の背後をとった。

瞬間、彼の首筋めがけて警棒が振り下ろされる。

殴った拍子に、男のフードが外れた。

「矢吹さん!?」

「優美さま、優華さまもお久しぶりでございます。

優美さま、演技のためとはいえ、怖い思いをさせてしまい、申し訳ありません」
 

男が崩れ落ちたのを見て、矢吹さんは、パソコンを持って麗眞さんの元に向かった。

「ありがとう。
 
助かったよ、矢吹さん。

相沢に、麻酔が注入される特殊警棒、借りておいて正解だったな」

まさか、自分のところの執事を、『自由空間の会』にスパイとして送り込んでいたとは。
 それゆえ、情報が詳細すぎるかつ、早かったのだと合点がいった。