響け、希望と愛の鐘

会議室では、地元のボランティアたちが待っていた。
リーダーの香代(かよ)、30代のシングルマザーだ。

 彼女は痴漢被害の経験を語り、「優美さんのデモで、娘のために声を上げたい」と言う。

 優美は頷き、スピーチ原稿を手に取った。

「香代さん、みんな、ありがとう。

 大阪のデモ、絶対成功させよう」

香代が笑顔で応える。

 「優美さん、めっちゃパワーもらえるわ!

 プラカード、こんな感じでどう?」

ピンクの横断幕に、「安全は私たちの権利」と書かれている。

 優美は笑顔で頷いたが、スマホが震えた。

 新しいメッセージ。

『大阪でも覚悟しろ』

 優美の背筋が冷える。

だが、やるしかない。

ここまで来たんだ。

優美は、気合を入れるために自らの両頬をパチン、と強く叩いた。