女王陛下のお婿さま

 忙しく公務をこなしながら、つきまとう王子二人をあしらっていると、舞踏会はもう三日後に迫ってきていた。

 そんな夜、夕食も済み寝支度を整えてくれたマイラも下がらせると、部屋にルイが訪ねてきた。

 もう部屋着に着替えてしまっている。扉を開けるのを少し躊躇し居留守を使おうと思ったが、うっかり返事をしてしまった後だった。仕方なく、アルベルティーナはガウンを羽織るとルイを部屋へ招き入れた。

「――何かご用ですか、ルイ王子」

 ルイを窓際のソファに座らせ、アルベルティーナはその向かい側の長椅子に腰掛ける。ローテーブルを挟んで向かい合うと、ルイは手にしていた瓶をそこへ置いた。

「夜遅くに失礼かと思ったのですが……こちらが届いたので、すぐにアルベルティーナ様にお渡ししたくて」

 それは先日、ルイがアルベルティーナに進呈したのに、ファビオが横取りして半分以上飲んでしまったあの蜂蜜酒だった。今度はまだ開封されていない新品だ。

「まあ! わざわざありがとうございます」

「いえ、女王陛下に喜んで頂けて、僕の方こそありがとうございます」

 ルイはそう言うと、柔らかく笑った。そんな穏やかで優しい笑顔を向けられ、アルベルティーナは少しドキリとしてしまった。侍女たちが妖精の王子様だと騒いでいるが……確かに、ファビオといがみ合ってさえいなければ、美しい王子様なのだ。

「――時に、アルベルティーナ様」

 せっかく頂いたのだからと、ルイに蜂蜜酒を振る舞おうとグラスを取りに席を立ちかけたアルベルティーナを、彼の声が呼び止めた。さっきまでとはガラリと雰囲気が変わり、何処か思い詰めたような表情。