会場を見渡すと、音楽に合わせて踊る紳士淑女。その中に、女王陛下をいつダンスに誘おうかと画策している者たちの姿が、舞うドレスの隙間からチラリチラリと見え隠れする。
そんな様子を暫く眺めていたアルベルティーナだったが、はあ、とまたため息を零してしまった。
「……今夜は、止めておきます。少し頭痛もするので、もう退場してもいいかしら、ニコライ?」
それは嘘だけど、嘘では無かった。結い上げた髪がきつくて、さっきからこめかみがズキズキしている。
しかしその発言は、少しばかりニコライを驚かせてしまったようだ。慌てた様子で侍医と侍女を呼ぼうとしたが、それをアルベルティーナが今度は慌てて止めた。
「ああ、ニコライ……大丈夫よ。部屋で少し休めばすぐ良くなるわ。だから、退場のファンファーレは無しで、そっとここから下がらせてちょうだい」
「かしこまりました! 女王陛下の仰せのままに!」
ニコライの計らいで、アルベルティーナは入場した時とは反対に、誰にも気付かれずに大広間を出る事が出来たのだった。
◇
そんな様子を暫く眺めていたアルベルティーナだったが、はあ、とまたため息を零してしまった。
「……今夜は、止めておきます。少し頭痛もするので、もう退場してもいいかしら、ニコライ?」
それは嘘だけど、嘘では無かった。結い上げた髪がきつくて、さっきからこめかみがズキズキしている。
しかしその発言は、少しばかりニコライを驚かせてしまったようだ。慌てた様子で侍医と侍女を呼ぼうとしたが、それをアルベルティーナが今度は慌てて止めた。
「ああ、ニコライ……大丈夫よ。部屋で少し休めばすぐ良くなるわ。だから、退場のファンファーレは無しで、そっとここから下がらせてちょうだい」
「かしこまりました! 女王陛下の仰せのままに!」
ニコライの計らいで、アルベルティーナは入場した時とは反対に、誰にも気付かれずに大広間を出る事が出来たのだった。
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