女王陛下のお婿さま


「これは……まあ、甘くて旨いが、俺には少し物足りないな」

 そんな嫌味を言いながら瓶をルイに返したが、中身はもう半分に減っていた。

「せっかく女王陛下に差し上げようとしたのに、こんなに飲んでしまって……! 貴方は四六時中湯殿に籠っているのだから、疲れてなんていないでしょう!」

 怒ったルイが声を荒げたので、アルベルティーナはまたか、と思い仲裁に入る。今日は一日中こんな感じで、だから疲れているというのに。どうやら二人にその自覚は無いようだ。

「お気持ちだけで大丈夫ですよ、ルイ王子。ありがとうございます、お酒はあまり得意ではないので、これだけあれば充分です」

 アルベルティーナは優しく微笑みながら受け取ろうとしたが、ルイは納得いかないようだった。まだファビオを睨みつけながら、瓶を抱えている。

「……しかしまあ、飲まれてしまったものは仕方ありません。明日にでもすぐ、新しいものを取り寄せますので」

 やがて残念そうに言いながら、やっと瓶を渡した。当のファビオは涼しい顔で、寝る前にひと風呂浴びたいと、また湯殿へ行ってしまった。背中を流させる為にクラウスを連れて。

 ルイはそんなファビオを睨み付けながら自分の席に戻り、食事を再開。アルベルティーナはそんな二人と、クラウスに向かってまたため息をこぼしてしまった。