彼は茶色の半袖カットソーにグレーのデニムパンツを合わせたラフな装いで、カーキ色のキャップをかぶっていた。サングラスは車を降りたときに外していて、背中にはバックパックを提げている。
無造作に下ろされた髪が目に入る。今日は結んでないんだ、となんとなく思った。
ふたりに遅れを取った宝瑠が追いつき、日葵の隣に並んだ。
視線を日葵から前方の象に飛ばした。そして目を見張った。
うわ……。
近くで見ると、象って、けっこう迫力がある。
柵の向こうで、象がのそりと首を動かし、干し草を鼻で巻き取っては、のんびりと口に運んでいる。
日葵が「いっぱい食べてるねぇ」と感心したようにつぶやいた。「ほんとねぇ」と宝瑠も頷く。
象の肌は、ところどころに土埃がついていて、思った以上にゴワゴワとしていた。実際に目にしてみて、「こんなふうだったっけ?」と不思議に思ってしまう。
ていうか……動物園に来るのなんて、何年ぶりだろう。
母子家庭で育った宝瑠は、母が動物園を好まなかったこともあり、行くのはいつも学校行事だけだった。そのせいか、自然と足が遠のき、大人になってから来るのは今日が初めてだ。
「ねぇ、“ママ”っ! 次はキリンさん見よー?」
ぼんやりと景色を仰ぐ宝瑠を、日葵の小さな手がグイッと引いた。
「えっ?」
無造作に下ろされた髪が目に入る。今日は結んでないんだ、となんとなく思った。
ふたりに遅れを取った宝瑠が追いつき、日葵の隣に並んだ。
視線を日葵から前方の象に飛ばした。そして目を見張った。
うわ……。
近くで見ると、象って、けっこう迫力がある。
柵の向こうで、象がのそりと首を動かし、干し草を鼻で巻き取っては、のんびりと口に運んでいる。
日葵が「いっぱい食べてるねぇ」と感心したようにつぶやいた。「ほんとねぇ」と宝瑠も頷く。
象の肌は、ところどころに土埃がついていて、思った以上にゴワゴワとしていた。実際に目にしてみて、「こんなふうだったっけ?」と不思議に思ってしまう。
ていうか……動物園に来るのなんて、何年ぶりだろう。
母子家庭で育った宝瑠は、母が動物園を好まなかったこともあり、行くのはいつも学校行事だけだった。そのせいか、自然と足が遠のき、大人になってから来るのは今日が初めてだ。
「ねぇ、“ママ”っ! 次はキリンさん見よー?」
ぼんやりと景色を仰ぐ宝瑠を、日葵の小さな手がグイッと引いた。
「えっ?」



