そう言って宝瑠にしがみつくのだが、ほどなくしてすうすうと寝息を立てはじめた。
久々津は父親らしい顔つきで嘆息し、日葵を抱き上げて奥の部屋へ連れて行った。
タイミングとしては、そろそろ退去すべきだろう、そう思うものの、一方的に押しかけ、晩ご飯までご馳走になってしまったので、きちんと礼は尽くしておきたい。宝瑠は久々津が戻るのを静かに待った。
再び彼がリビングに戻ってくる。宝瑠の姿を認め、ぼそりと言う。
「四ノ宮さんって、押しに弱いほうですか?」
「えっ、いや……普段はそんなことないと思うんですけど。強いて言うなら、子供には弱いかもしれません」
「……へぇ」
自分で聞いておきながら、また気のない返事だ。
久々津はキッチンに立ち、戸棚からマグカップを二つ取り出した。
「四ノ宮さんも飲みます? コーヒー」
「え、いいんですか?」
「ええ」
「なら、お言葉に甘えて。いただきます」
斜向かいに座った久々津にグレーのカップを勧められて、ブラックコーヒーをひと口飲み込んだ。
「美味しい」
コーヒーサーバーも使わない、インスタントのはずなのに。誰かに淹れてもらっただけで、どうしてこんなに美味しく感じるんだろう。きっと、気遣いや配慮をまるごとその人の温度として受け取るから、そうなるのかもしれない。
「よく普通に飲めますね?」
「……え?」
久々津は父親らしい顔つきで嘆息し、日葵を抱き上げて奥の部屋へ連れて行った。
タイミングとしては、そろそろ退去すべきだろう、そう思うものの、一方的に押しかけ、晩ご飯までご馳走になってしまったので、きちんと礼は尽くしておきたい。宝瑠は久々津が戻るのを静かに待った。
再び彼がリビングに戻ってくる。宝瑠の姿を認め、ぼそりと言う。
「四ノ宮さんって、押しに弱いほうですか?」
「えっ、いや……普段はそんなことないと思うんですけど。強いて言うなら、子供には弱いかもしれません」
「……へぇ」
自分で聞いておきながら、また気のない返事だ。
久々津はキッチンに立ち、戸棚からマグカップを二つ取り出した。
「四ノ宮さんも飲みます? コーヒー」
「え、いいんですか?」
「ええ」
「なら、お言葉に甘えて。いただきます」
斜向かいに座った久々津にグレーのカップを勧められて、ブラックコーヒーをひと口飲み込んだ。
「美味しい」
コーヒーサーバーも使わない、インスタントのはずなのに。誰かに淹れてもらっただけで、どうしてこんなに美味しく感じるんだろう。きっと、気遣いや配慮をまるごとその人の温度として受け取るから、そうなるのかもしれない。
「よく普通に飲めますね?」
「……え?」



