大手総合企業・ナミキホールディングスの常務は、喰えない男で有名だ。
社長の息子という立場なので、コネに甘んじたジュニアかと思いきや、そうではない。恐ろしく頭が切れる。
表向き、爽やかな笑みを浮かべていても突っ込むところは容赦なく指摘し、理路整然と要望を述べてくる。半端な企画案じゃ相手にもされない。
初稿の企画案は通らず、今回がそのリベンジになる。
果たしてこの企画で勝負できるかどうか。思わずため息がこぼれた。
腹が減ってはなんとやら。どこかで適当にでも食べておきたい。
アポの時間から逆算し、昼食の時間と場所を考えたところで、ふいに手前から「あの」と声をかけられた。
「四ノ宮チーフ、今日ランチご一緒しませんか? 駅前にできたイタリアン、評判いいみたいで」
後輩の女子社員ふたりがスマホを片手に、おずおずと笑みを浮かべる。宝瑠は先ほど確認した手帳に目を落とし、申し訳なさそうに口元を緩める。
「ごめん……気持ちは嬉しいんだけど。午後イチの会議、発表担当になってて、その前に資料を見直しておきたいの」
「じゃあ、会議が終わってからでも……?」
「ううん。それが終わったらすぐにクライアント回りだから、今日はコンビニでさっと済ませるつもりで……」
「……あー……そうなんですね。残念」
「ほんと……ごめんね。また誘って?」
社長の息子という立場なので、コネに甘んじたジュニアかと思いきや、そうではない。恐ろしく頭が切れる。
表向き、爽やかな笑みを浮かべていても突っ込むところは容赦なく指摘し、理路整然と要望を述べてくる。半端な企画案じゃ相手にもされない。
初稿の企画案は通らず、今回がそのリベンジになる。
果たしてこの企画で勝負できるかどうか。思わずため息がこぼれた。
腹が減ってはなんとやら。どこかで適当にでも食べておきたい。
アポの時間から逆算し、昼食の時間と場所を考えたところで、ふいに手前から「あの」と声をかけられた。
「四ノ宮チーフ、今日ランチご一緒しませんか? 駅前にできたイタリアン、評判いいみたいで」
後輩の女子社員ふたりがスマホを片手に、おずおずと笑みを浮かべる。宝瑠は先ほど確認した手帳に目を落とし、申し訳なさそうに口元を緩める。
「ごめん……気持ちは嬉しいんだけど。午後イチの会議、発表担当になってて、その前に資料を見直しておきたいの」
「じゃあ、会議が終わってからでも……?」
「ううん。それが終わったらすぐにクライアント回りだから、今日はコンビニでさっと済ませるつもりで……」
「……あー……そうなんですね。残念」
「ほんと……ごめんね。また誘って?」



