日葵にやんわりとした笑みを向け、振り返った。途端に久々津と目が合った。キッチンに立ち、マグカップを中途半端に傾けたまま、ジトッとした目つきで宝瑠を見ている。
なに……?
思わず頬がひくついた。そういえば、会社ですれ違った第一印象からこの調子だ。この男には遠慮というものがないのだろうか。ふと、そんなことを思ってしまう。
他人に対する視線や行動に、いっさいの余念がない。こちらが目を合わせるのを躊躇してしまうほど、無遠慮な視線を向けてくる。
「あの」
控えめに声をかけて立ち上がる。宝瑠は目線を下げて、少しだけ久々津と距離を詰めた。
「ひま」と彼が軽い口調で娘を呼ぶ。
「パパ、このお姉さんと仕事部屋で話してくるから。アニメでも観て待ってて?」
「……はぁい」
日葵の口調はやや不満げだった。小さな頬を膨らませ、しぶしぶテレビにリモコンを向けていた。
久々津に続いて部屋を移動した。玄関から入ってすぐの個室だった。
彼が扉を開けた瞬間、空気が変わった気がした。
さっきまでの生活感あるリビングとは打って変わって、ここだけ温度が違う。
室内は無駄なものがいっさいなく、壁はマットなグレーだ。床にはモルタル風のシートが敷かれていて、天井にはダクトレールライトが並んでいる。まるでどこかのスタジオか、インダストリアル風のショールームのようだった。
なに……?
思わず頬がひくついた。そういえば、会社ですれ違った第一印象からこの調子だ。この男には遠慮というものがないのだろうか。ふと、そんなことを思ってしまう。
他人に対する視線や行動に、いっさいの余念がない。こちらが目を合わせるのを躊躇してしまうほど、無遠慮な視線を向けてくる。
「あの」
控えめに声をかけて立ち上がる。宝瑠は目線を下げて、少しだけ久々津と距離を詰めた。
「ひま」と彼が軽い口調で娘を呼ぶ。
「パパ、このお姉さんと仕事部屋で話してくるから。アニメでも観て待ってて?」
「……はぁい」
日葵の口調はやや不満げだった。小さな頬を膨らませ、しぶしぶテレビにリモコンを向けていた。
久々津に続いて部屋を移動した。玄関から入ってすぐの個室だった。
彼が扉を開けた瞬間、空気が変わった気がした。
さっきまでの生活感あるリビングとは打って変わって、ここだけ温度が違う。
室内は無駄なものがいっさいなく、壁はマットなグレーだ。床にはモルタル風のシートが敷かれていて、天井にはダクトレールライトが並んでいる。まるでどこかのスタジオか、インダストリアル風のショールームのようだった。



