宝瑠は目線を下げ、これらの疑問を飲み込んだ。父親の手をしっかりと握る少女の姿を見てしまうと、問いただすことなんてできなかった。
宝瑠はスッと視線を逸らし、軽く頭を下げた。そのまま背を向けた。
画像のことは気になる。でも、必要以上に他人の家庭に踏み込んではいけない。これ以上、関わるべきじゃない。
頭ではそうわかっていた。なのに、心は晴れなかった。
母の幻想に囚われながら、日葵がこれからも不安定な日々を過ごすのかと思うと、胸の奥に重たいモヤモヤが残った。
*
それから数日が過ぎた。
ゴールデンウィークの中日、宝瑠は部屋でひとり、気ままに過ごしていた。
朝からなにも予定がなく、iPadでサブスク配信の海外ドラマを流し見し、カップに淹れたインスタントコーヒーを口にしていた。
ソファに腰を沈め、字幕版のドラマで時間をやり過ごしている。時計の針はすでに午後二時を回っていた。
決してやることがないわけではなかった。ベランダのそばに置いた洗濯カゴの中には、干して取り入れた洗濯物をそのまま突っ込んであるし、キッチンのシンクにはフードデリバリーで食べた空の容器がたまっている。
昨日飲んだコーヒーカップもティースプーンも手付かずのままだ。
パソコンデスクのそばには、通勤鞄と脱ぎっぱなしの薄手のジャケットが転がっている。仕事用に準備した紙の資料も、デスクの上に広げて放置したままだ。
宝瑠はスッと視線を逸らし、軽く頭を下げた。そのまま背を向けた。
画像のことは気になる。でも、必要以上に他人の家庭に踏み込んではいけない。これ以上、関わるべきじゃない。
頭ではそうわかっていた。なのに、心は晴れなかった。
母の幻想に囚われながら、日葵がこれからも不安定な日々を過ごすのかと思うと、胸の奥に重たいモヤモヤが残った。
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それから数日が過ぎた。
ゴールデンウィークの中日、宝瑠は部屋でひとり、気ままに過ごしていた。
朝からなにも予定がなく、iPadでサブスク配信の海外ドラマを流し見し、カップに淹れたインスタントコーヒーを口にしていた。
ソファに腰を沈め、字幕版のドラマで時間をやり過ごしている。時計の針はすでに午後二時を回っていた。
決してやることがないわけではなかった。ベランダのそばに置いた洗濯カゴの中には、干して取り入れた洗濯物をそのまま突っ込んであるし、キッチンのシンクにはフードデリバリーで食べた空の容器がたまっている。
昨日飲んだコーヒーカップもティースプーンも手付かずのままだ。
パソコンデスクのそばには、通勤鞄と脱ぎっぱなしの薄手のジャケットが転がっている。仕事用に準備した紙の資料も、デスクの上に広げて放置したままだ。



