AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。

 今いる喫茶店の場所を説明しながら、思ってしまう。

 ……なに、この人。

 なんでこんなに偉そうなの? おまけにものすごく無愛想だし。

 久々津の、どこか気だるげで抑揚のない声を聞きながら、宝瑠は日葵に昼食を食べさせていることも話した。

 そこでふと視線を感じる。日葵が目を見張り、「パパ来るの?」とその場で声を張り上げた。宝瑠は内心で声を上げたくなるほど、ギョッとした。

『じゃあ……十五分後ぐらいには行けると思いますんで』

 そう言って一方的に電話が切れた。

「四ノ宮……? 顔ひきつってるけど。大丈夫か?」
「……うん」

 宝瑠はあえて日葵から目を逸らした。曖昧な動きで小野寺に目配せを送った。彼にだけ聞こえるように囁く。

「あのね、小野寺くん。この女の子からママって聞いたと思うけど……ちょっとした誤解があって」
「あー……そうなんだ?」

 どこか踏み込んではいけない空気を察して、小野寺がぎこちなく笑う。

「ねぇ、ママ! パパ来るんでしょ?」

 再び日葵に話しかけられ、宝瑠は無理やり笑みを貼り付けた。

「うん。もうすぐお迎えに来るって。だから、それまで一緒に待っていようね」

 ずっと立ちっぱなしでいたので、また椅子に腰を下ろした。

「じゃあ四ノ宮、俺は会社に戻るな?」
「うん。お疲れ様」

 小野寺の背中が見えなくなると、宝瑠はようやく胸を撫で下ろした。小野寺のいる前で久々津が現れたら、彼との約束を早々に破ってしまう。

 久々津に娘がいることは、社の人間には漏らせないのだから。