「あのね、小野寺くん、この子は——」
そう言いながら椅子を引いて立ち上がったタイミングで、宝瑠のスマホが鳴った。小野寺の視線も自然とスマホに移り、「出たら?」と軽く促した。
スマホの画面には「久々津さん」の文字が浮かんでいた。
宝瑠はハッと息を呑み、その場で回線を繋いだ。
「はい、四ノ宮です」
『……あー……。久々津です』
「あ……はい」
返事をしながら、思わず考えてしまう——この人、どうしてこんなに気だるげなんだろう。
『さっき。アオショウから電話をもらいまして……。日葵がお世話になってるそうですね』
「はい、そうなんです。直接私の会社まで来てしまって」
『ええ、聞いてます。今からそっちへ迎えに行きますんで……どこへ行けばいいですか?』
久々津の淡々とした声を聞きながら、宝瑠は表情を固めた。
その合間に日葵と小野寺の会話が漏れ聞こえてくる。「ママとご飯食べてたの」と嬉しそうに言う彼女に、小野寺が「ママ?」と怪訝な顔つきで首を捻っている。
『あの……もしもし? 聞いてます?』
久々津が若干 不機嫌な声を出した。
「す、すみません、ちゃんと聞いてます」
宝瑠はそばの二人から視線を逸らし、すぐにでも電話を切り上げるべきだと思った。
『できればレミックスから少しでも離れた場所だと助かるんですけど……どこにいます?』
「ええと……」
そう言いながら椅子を引いて立ち上がったタイミングで、宝瑠のスマホが鳴った。小野寺の視線も自然とスマホに移り、「出たら?」と軽く促した。
スマホの画面には「久々津さん」の文字が浮かんでいた。
宝瑠はハッと息を呑み、その場で回線を繋いだ。
「はい、四ノ宮です」
『……あー……。久々津です』
「あ……はい」
返事をしながら、思わず考えてしまう——この人、どうしてこんなに気だるげなんだろう。
『さっき。アオショウから電話をもらいまして……。日葵がお世話になってるそうですね』
「はい、そうなんです。直接私の会社まで来てしまって」
『ええ、聞いてます。今からそっちへ迎えに行きますんで……どこへ行けばいいですか?』
久々津の淡々とした声を聞きながら、宝瑠は表情を固めた。
その合間に日葵と小野寺の会話が漏れ聞こえてくる。「ママとご飯食べてたの」と嬉しそうに言う彼女に、小野寺が「ママ?」と怪訝な顔つきで首を捻っている。
『あの……もしもし? 聞いてます?』
久々津が若干 不機嫌な声を出した。
「す、すみません、ちゃんと聞いてます」
宝瑠はそばの二人から視線を逸らし、すぐにでも電話を切り上げるべきだと思った。
『できればレミックスから少しでも離れた場所だと助かるんですけど……どこにいます?』
「ええと……」



