「良かったです」と続け、常務は手を挙げて去っていく。その背中を先輩と見送り、「お疲れ様です」とまた丁重に頭を下げた。
「久々津さんって、前は広告代理店にいたんだっけ?」
「はい。小さな……ところなんですけどね。自分にできることをやってました」
宝瑠はしとやかに微笑んだ。レミックスを小さいとは、全く思わない。元いた会社、部署については秘密にしていようと思っていた。
先輩は「ふぅん」と呟き、颯爽と歩き去る常務の後ろ姿を見つめた。
「それにしては……並樹常務に覚えてもらってるの、すごいよね」
「ああ、面接のとき……ちょっとポカやらかして。それが印象に残られているんだと思います」
「……そっかぁ」
先輩はサンプル品のカートを押し、再び歩き出した。宝瑠は美容機器の入った段ボールを持ち直してあとに続いた。
「並樹常務ってさ。見ての通り、すごーく素敵な人だけど……奥さんいるからね? 駄目だよ、好きになっちゃ」
宝瑠はやんわりと笑い、「はい」と頷いた。
「大丈夫です。それに私も……夫がいますから」
言いながら、左手の薬指に嵌めた結婚指輪を意識した。
「そうかもしれないけど。そんなの関係ないって子もたくさんいるから」
「はぁ、なるほど……」
「とは言っても。並樹常務とワンチャンあるなら、ぜひご一緒してみたいもんだわ」
「久々津さんって、前は広告代理店にいたんだっけ?」
「はい。小さな……ところなんですけどね。自分にできることをやってました」
宝瑠はしとやかに微笑んだ。レミックスを小さいとは、全く思わない。元いた会社、部署については秘密にしていようと思っていた。
先輩は「ふぅん」と呟き、颯爽と歩き去る常務の後ろ姿を見つめた。
「それにしては……並樹常務に覚えてもらってるの、すごいよね」
「ああ、面接のとき……ちょっとポカやらかして。それが印象に残られているんだと思います」
「……そっかぁ」
先輩はサンプル品のカートを押し、再び歩き出した。宝瑠は美容機器の入った段ボールを持ち直してあとに続いた。
「並樹常務ってさ。見ての通り、すごーく素敵な人だけど……奥さんいるからね? 駄目だよ、好きになっちゃ」
宝瑠はやんわりと笑い、「はい」と頷いた。
「大丈夫です。それに私も……夫がいますから」
言いながら、左手の薬指に嵌めた結婚指輪を意識した。
「そうかもしれないけど。そんなの関係ないって子もたくさんいるから」
「はぁ、なるほど……」
「とは言っても。並樹常務とワンチャンあるなら、ぜひご一緒してみたいもんだわ」



