そこでハタと表情が固まった。両手で包んだマグカップに視線を注ぎ、宝瑠は眉を下げた。胸中に影をひそめた不安がむくむくと膨らんでいく。
新しい部署に入ったら、当然自己紹介をしなければいけない。
「四ノ宮宝瑠と申します」、そう言った瞬間、周りの空気を凍らせてしまうかもしれない。
「どうしよう、天喜」
「……うん?」
コーヒーを飲みながら、スマホを見ていた天喜がふっと目を上げた。
「ナミキホールディングスに入れるのは本当にラッキーだし、光栄なことだけど。名前を言った途端、ああ、あの四ノ宮ってなるよね、きっと」
宝瑠はカップを満たすブラックコーヒーを見つめ、眉を寄せた。
「あの炎上させちゃった人? って裏でひそひそ噂されたり、色んな人から奇異の目で見られるよね、きっと」
「……まぁ、そうだろうな」
「どうしよう……入社一年目からそれなんて、最悪もいいところだよ」
「……」
「再就職決まるのは嬉しいけど、不安もある」
宝瑠は苦い顔つきでため息をつき、コーヒーをひと口飲み込んだ。また少し冷めて、ぬるくなっていた。「なにそれ」と天喜が言う。
「今からそんなの心配してもしょうがなくない?」
「……そうだけど」
八の字眉毛のまま天喜を見ると、彼は呆れて目を細めていた。くだらない。そう瞳が物語っている。
新しい部署に入ったら、当然自己紹介をしなければいけない。
「四ノ宮宝瑠と申します」、そう言った瞬間、周りの空気を凍らせてしまうかもしれない。
「どうしよう、天喜」
「……うん?」
コーヒーを飲みながら、スマホを見ていた天喜がふっと目を上げた。
「ナミキホールディングスに入れるのは本当にラッキーだし、光栄なことだけど。名前を言った途端、ああ、あの四ノ宮ってなるよね、きっと」
宝瑠はカップを満たすブラックコーヒーを見つめ、眉を寄せた。
「あの炎上させちゃった人? って裏でひそひそ噂されたり、色んな人から奇異の目で見られるよね、きっと」
「……まぁ、そうだろうな」
「どうしよう……入社一年目からそれなんて、最悪もいいところだよ」
「……」
「再就職決まるのは嬉しいけど、不安もある」
宝瑠は苦い顔つきでため息をつき、コーヒーをひと口飲み込んだ。また少し冷めて、ぬるくなっていた。「なにそれ」と天喜が言う。
「今からそんなの心配してもしょうがなくない?」
「……そうだけど」
八の字眉毛のまま天喜を見ると、彼は呆れて目を細めていた。くだらない。そう瞳が物語っている。



