AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。

「どうして、私のことをママって呼ぶのか……教えてくれる？」

　ずっと気になっていた疑問を、やんわりと投げる。日葵が母親の死や離婚を理解しているかは分からない。けれど、事情さえ分かれば、こちらから説明できるかもしれない。

「だって、ママだもん」

　宝瑠は曖昧に微笑み、「うーん？」と首を傾げた。

「パパがママだっておしえてくれたの」
「……お家に。ママの写真が飾ってあるとか？」

「えっとね」と言いながら、日葵が自分のスマホを操作する。

　電話を受けたときから思っていたが、小学一年生の子にスマホを持たせるなんて、今どきはそれが普通なのだろうか。

「パパがね、ママのおしゃしんだって言って、送ってくれたの」
「……どれ？」

「はい」と言って、日葵がスマホの画面を差し出す。

　どうせ、少し似ている程度の女性が写っているだけだ——そんな先入観は、すぐに打ち砕かれた。

「……えっ？」

　見た瞬間に息を呑む。少し、なんてものじゃない。髪型こそ違えど、目鼻立ちはそっくりそのまま宝瑠の顔だ。

　宝瑠は若い頃からずっとロングヘアで、仕事中は髪ゴムとクリップを使い、かっちりとアップにまとめている。写真の女性はボブヘアーだ。