一心に見ていたスマホから顔を上げ、宝瑠は振り返った。出勤したばかりの小野寺がちょうどエレベーターを降りたところだった。「小野寺くん」と乾いた声がもれた。
小野寺は宝瑠のスマホに目を留め、嘆息した。
「とりあえず、カフェスペース行こ」
そう言って先々と前を歩き出す。宝瑠もそれに続いた。
*
コーヒーサーバーから注がれたカップを取り出し、宝瑠は小野寺と並んで窓際のスツールに座った。
「ごめん、なんか……。ずっと見ちゃってた」
小野寺は困ったように眉を下げ、小さく微笑んだ。
「みんなそういうもんだよ。だからSNSは怖いんだ」
「……うん」
宝瑠は神妙な顔つきで、湯気の上がったコーヒーカップを見つめる。
「見たのは久々津さんの情報だけ?」
それは……つまり。
小野寺がなにを言わんとしているのかを察して、宝瑠は恐る恐る口にする。
「もしかして……私の情報も?」
ちらっと遠慮がちに視線を送ると、小野寺が無言で頷いた。
「久々津さんのより、ずっと酷いから。見ない方がいいと思う」
「……酷い?」
「全部が全部、本当のことだとは思ってないけど。四ノ宮……堕胎の経験とかあったりする?」
「……え」
「あと。名前は伏せるけど。会社の上司が……同僚と不倫してる、とか。そういうの、書いてないよな?」
一瞬で宝瑠の顔が蒼ざめた。思い当たる節があった。
小野寺は宝瑠のスマホに目を留め、嘆息した。
「とりあえず、カフェスペース行こ」
そう言って先々と前を歩き出す。宝瑠もそれに続いた。
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コーヒーサーバーから注がれたカップを取り出し、宝瑠は小野寺と並んで窓際のスツールに座った。
「ごめん、なんか……。ずっと見ちゃってた」
小野寺は困ったように眉を下げ、小さく微笑んだ。
「みんなそういうもんだよ。だからSNSは怖いんだ」
「……うん」
宝瑠は神妙な顔つきで、湯気の上がったコーヒーカップを見つめる。
「見たのは久々津さんの情報だけ?」
それは……つまり。
小野寺がなにを言わんとしているのかを察して、宝瑠は恐る恐る口にする。
「もしかして……私の情報も?」
ちらっと遠慮がちに視線を送ると、小野寺が無言で頷いた。
「久々津さんのより、ずっと酷いから。見ない方がいいと思う」
「……酷い?」
「全部が全部、本当のことだとは思ってないけど。四ノ宮……堕胎の経験とかあったりする?」
「……え」
「あと。名前は伏せるけど。会社の上司が……同僚と不倫してる、とか。そういうの、書いてないよな?」
一瞬で宝瑠の顔が蒼ざめた。思い当たる節があった。



