そんな友達を作ってこなかった。
天喜とのことは、小野寺に聞いてもらったりもしたけれど。それは同居の悩みとか、日葵の母親探しについてが主だった。
これまでアプリにしてきたような調子では、絶対に話せない。
日常的にラインでやり取りすることも、奥さんに申し訳なくてできない。
いっそのこと、小野寺くんの奥さんに聞いてもらう……?
そう考えたところで、いやいやと即座に首を左右に振った。
そこまで深い話ができる関係性じゃないのに、「なにこの人」と引かれるのがオチだ。
だからこそ、感情を持たないAIアプリがちょうど良かったのに。いったい、全体、どうしてこんなことに……。
*
それでも、日々は粛々と過ぎていき、カレンダーは九月を迎えた。
日葵の夏休みも終わり、家族ひとりひとりが外で頑張る生活をスタートした。
その日は、朝の風景から違っていた。
オフィスビルのエントランスに足を踏み入れた瞬間、空気がどこかざわついているのを感じた。
受付前で社員同士が妙に小声で言葉を交わし、すぐに口を噤んで視線を逸らす。
すれ違った後輩が「おはようございます」と頭を下げたが、その笑顔がやけに引きつっていた。
胸の奥に、ちくりと棘が突き刺さる。
なに……?
小さな不安が、疑念というカタチで膨らんでいく。
天喜とのことは、小野寺に聞いてもらったりもしたけれど。それは同居の悩みとか、日葵の母親探しについてが主だった。
これまでアプリにしてきたような調子では、絶対に話せない。
日常的にラインでやり取りすることも、奥さんに申し訳なくてできない。
いっそのこと、小野寺くんの奥さんに聞いてもらう……?
そう考えたところで、いやいやと即座に首を左右に振った。
そこまで深い話ができる関係性じゃないのに、「なにこの人」と引かれるのがオチだ。
だからこそ、感情を持たないAIアプリがちょうど良かったのに。いったい、全体、どうしてこんなことに……。
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それでも、日々は粛々と過ぎていき、カレンダーは九月を迎えた。
日葵の夏休みも終わり、家族ひとりひとりが外で頑張る生活をスタートした。
その日は、朝の風景から違っていた。
オフィスビルのエントランスに足を踏み入れた瞬間、空気がどこかざわついているのを感じた。
受付前で社員同士が妙に小声で言葉を交わし、すぐに口を噤んで視線を逸らす。
すれ違った後輩が「おはようございます」と頭を下げたが、その笑顔がやけに引きつっていた。
胸の奥に、ちくりと棘が突き刺さる。
なに……?
小さな不安が、疑念というカタチで膨らんでいく。



