妙子の呟きと同様に、宝瑠は表情を固めた。
「大人になったからこそ、あれこれ世話を焼かれると反発するんでしょうけど……お母さんが稼いだお金で、ご飯を食べて、学校にも通えて、友達を作れていたのは事実ですから。ほったらかしなんて、とんでもない。その環境をひとり親家庭で作ってきたことに、僕は尊敬の念しか湧かないです」
……天喜。
前に、機内で聞いた“彼の生い立ち”を思うと、ぎゅっと胸が苦しくなった。
「親のありがたみって、自分が同じ立場になったときに、初めてわかると思うんです。なので……宝瑠さんはこれからですよ」
「……そう、そうよね……っ」
心なしか、母の声が涙ぐんで聞こえた。
複雑だった。
自分の少女時代を振り返ると、なんでうちはこうなんだろうって。不満ばかりを積み重ねていた。
友達の家は両親が揃っていて。
参観日には当たり前に親が来ていて。
夏休みにはどこそこに旅行に行ったなんて会話も聞こえてきて。
お弁当も毎日手作りで。
運動会や発表会にも応援に来てくれていて。
いいなぁ。
羨ましいなぁ。
私のうちはお父さんがいないから。
お母さんだけだから。
お母さんの仕事が忙しいから。
我儘なんて言えないし。
私がお母さんを困らせたらいけないし。
だから、しょうがない。
ずっとそんなふうに思ってきた。
「大人になったからこそ、あれこれ世話を焼かれると反発するんでしょうけど……お母さんが稼いだお金で、ご飯を食べて、学校にも通えて、友達を作れていたのは事実ですから。ほったらかしなんて、とんでもない。その環境をひとり親家庭で作ってきたことに、僕は尊敬の念しか湧かないです」
……天喜。
前に、機内で聞いた“彼の生い立ち”を思うと、ぎゅっと胸が苦しくなった。
「親のありがたみって、自分が同じ立場になったときに、初めてわかると思うんです。なので……宝瑠さんはこれからですよ」
「……そう、そうよね……っ」
心なしか、母の声が涙ぐんで聞こえた。
複雑だった。
自分の少女時代を振り返ると、なんでうちはこうなんだろうって。不満ばかりを積み重ねていた。
友達の家は両親が揃っていて。
参観日には当たり前に親が来ていて。
夏休みにはどこそこに旅行に行ったなんて会話も聞こえてきて。
お弁当も毎日手作りで。
運動会や発表会にも応援に来てくれていて。
いいなぁ。
羨ましいなぁ。
私のうちはお父さんがいないから。
お母さんだけだから。
お母さんの仕事が忙しいから。
我儘なんて言えないし。
私がお母さんを困らせたらいけないし。
だから、しょうがない。
ずっとそんなふうに思ってきた。



