「でも。結局のところはいなかったのよねぇ。あの子の父親以上に、この人だって思える男の人が。私にとって、最愛の人は……あの子の父親だけだったから」
「……一途なんですね」
「そんないいものじゃないわよ。それに、私なりの意地だったんだと思う。あの子の父親を愛してはいたけど、妻帯者だったから。あの人には頼らないって……まぁ、多少の養育費は入れてもらってたけどね」
そこで妙子は言葉を切った。手元にあるグラスを持ち上げ、お茶を飲んでいるのだとわかった。
「それでも。生活費はカツカツだし。将来的な貯金もしなきゃいけないし。昔のことを思い出すと、子育てより仕事ばっかりしてた自分しか……思い出せないのよね」
「……お仕事はなにを?」
天喜に問われ、ふふっ、と妙子が笑った。
「看護師よ。基本的に休みにくい職場でね、あのころは昼も夜も関係なく働いてたわ」
「……ああ、それで」
「なぁに? じゅえちゃんから何か聞いてる?」
「あ、いえ。彼女、動物園とか水族館とか……日葵と同じ目線で楽しんでるんですよね。そう思ったら、前にちらっと言ってたことがあって。本当に学校行事でしか行ってないんだなって」
「……一途なんですね」
「そんないいものじゃないわよ。それに、私なりの意地だったんだと思う。あの子の父親を愛してはいたけど、妻帯者だったから。あの人には頼らないって……まぁ、多少の養育費は入れてもらってたけどね」
そこで妙子は言葉を切った。手元にあるグラスを持ち上げ、お茶を飲んでいるのだとわかった。
「それでも。生活費はカツカツだし。将来的な貯金もしなきゃいけないし。昔のことを思い出すと、子育てより仕事ばっかりしてた自分しか……思い出せないのよね」
「……お仕事はなにを?」
天喜に問われ、ふふっ、と妙子が笑った。
「看護師よ。基本的に休みにくい職場でね、あのころは昼も夜も関係なく働いてたわ」
「……ああ、それで」
「なぁに? じゅえちゃんから何か聞いてる?」
「あ、いえ。彼女、動物園とか水族館とか……日葵と同じ目線で楽しんでるんですよね。そう思ったら、前にちらっと言ってたことがあって。本当に学校行事でしか行ってないんだなって」



