「俺は部屋風呂を使うから。宝だけでも、入ってきたら?」
彼の淡々とした声を聞き、宝瑠は自分用に準備したボストンバッグを開けた。
「じゃあ……お言葉に甘えて」
入浴セットと着替えをまとめ、そそくさと部屋を出ようとした。
彼とすれ違ったその瞬間。彼特有の香りがふいに鼻腔をくすぐった。動揺から体勢を崩し、足元が何かに蹴つまずいた。ぐらりと体が傾いた。
え……?
転ける、と思い、身構えるのだが。咄嗟に伸ばされた天喜の手が、宝瑠の腰あたりに回された。
ドキン——、鼓動がまた大きく跳ねた。
天喜と至近距離で目が合い、宝瑠は息を呑んだ。カッと頬が熱くなるのを感じた。彼の二重の瞳に、一瞬だけ熱がこもった気がして、宝瑠は曖昧に視線をずらした。
「ご、ごめん。私ってば……」
彼の手から離れ、そっと距離を取ろうとした。
「慣れないことしたから……疲れてるのかも」
言いながら俯き、逃げるように身を翻そうとした。
しかしながら——天喜の手に腕を掴まれ、グイッと引き寄せられた。え、と声を上げる間もなく。
気づいたときには、天喜に抱きしめられていた。
瞬間的に、頭の中が真っ白になった。
なんで……?
さっき感じた彼の匂いが濃厚になり、頬の熱は耳まで広がっていた。心臓の音がうるさい。
彼の淡々とした声を聞き、宝瑠は自分用に準備したボストンバッグを開けた。
「じゃあ……お言葉に甘えて」
入浴セットと着替えをまとめ、そそくさと部屋を出ようとした。
彼とすれ違ったその瞬間。彼特有の香りがふいに鼻腔をくすぐった。動揺から体勢を崩し、足元が何かに蹴つまずいた。ぐらりと体が傾いた。
え……?
転ける、と思い、身構えるのだが。咄嗟に伸ばされた天喜の手が、宝瑠の腰あたりに回された。
ドキン——、鼓動がまた大きく跳ねた。
天喜と至近距離で目が合い、宝瑠は息を呑んだ。カッと頬が熱くなるのを感じた。彼の二重の瞳に、一瞬だけ熱がこもった気がして、宝瑠は曖昧に視線をずらした。
「ご、ごめん。私ってば……」
彼の手から離れ、そっと距離を取ろうとした。
「慣れないことしたから……疲れてるのかも」
言いながら俯き、逃げるように身を翻そうとした。
しかしながら——天喜の手に腕を掴まれ、グイッと引き寄せられた。え、と声を上げる間もなく。
気づいたときには、天喜に抱きしめられていた。
瞬間的に、頭の中が真っ白になった。
なんで……?
さっき感じた彼の匂いが濃厚になり、頬の熱は耳まで広がっていた。心臓の音がうるさい。



