宝瑠は俯きがちにはにかみ、湧いてくる甘美な愛情にそっと息を吐き出した。
*
「……え。一部屋しか、取れてない?」
天喜はホテルスタッフを見つめ、驚きにぽつりと声をもらした。その隣では、宝瑠も息を詰め、言葉を失っている。
テーマパークを出たあと、ファミレスで夕食をとり、予約していたホテルへと向かった。空腹も満たされ、再び深く眠り込んだ日葵は、天喜に背負われたままだ。宝瑠たちは、そのままチェックインの手続きを進めていた。
フロントでパソコンと向かい合うスタッフが予約状況を確認し、部屋の鍵をひとつ差し出した。天喜は首を傾げ、「もう一部屋取ってありますよね?」と確認した。
スタッフはパソコン画面を再三見直し、眉をひそめた。「いえ」と躊躇いがちに首を振る。
「久々津さまのご予約は……大人二名様、お子さん一名様で。この部屋のみでございます」
その声を聞き、天喜は愕然とした。ひと呼吸置いてから、「空いている部屋、ないんですか?」と尋ねる。
「申し訳ありませんが……あいにく本日は満室でございまして」
「そう、ですか。わかりました」
いったいどこでどうミスをしたんだ──目を泳がせる天喜の表情が、はっきりとそう物語っていた。
渋々、ひとつの鍵を受け取る天喜を見て、宝瑠はぎこちなく笑った。
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「……え。一部屋しか、取れてない?」
天喜はホテルスタッフを見つめ、驚きにぽつりと声をもらした。その隣では、宝瑠も息を詰め、言葉を失っている。
テーマパークを出たあと、ファミレスで夕食をとり、予約していたホテルへと向かった。空腹も満たされ、再び深く眠り込んだ日葵は、天喜に背負われたままだ。宝瑠たちは、そのままチェックインの手続きを進めていた。
フロントでパソコンと向かい合うスタッフが予約状況を確認し、部屋の鍵をひとつ差し出した。天喜は首を傾げ、「もう一部屋取ってありますよね?」と確認した。
スタッフはパソコン画面を再三見直し、眉をひそめた。「いえ」と躊躇いがちに首を振る。
「久々津さまのご予約は……大人二名様、お子さん一名様で。この部屋のみでございます」
その声を聞き、天喜は愕然とした。ひと呼吸置いてから、「空いている部屋、ないんですか?」と尋ねる。
「申し訳ありませんが……あいにく本日は満室でございまして」
「そう、ですか。わかりました」
いったいどこでどうミスをしたんだ──目を泳がせる天喜の表情が、はっきりとそう物語っていた。
渋々、ひとつの鍵を受け取る天喜を見て、宝瑠はぎこちなく笑った。



