机上のデジタル時計が11時半を回ったころ、ようやくひと段落ついた。
座ったまま、小さく伸びをし、「うん」と声を漏らした。
そのタイミングを見計らったかのように、スマホが軽快な音を鳴らす。すぐさま鞄に手を伸ばし、画面を確認した。
表示されたのは、登録のない十一桁の見知らぬ番号。
クライアント先の誰かだろうと予想し、「はい、四ノ宮です」と淀みなく応答する。
『………』
沈黙。そして雑踏の気配。
車の排気音や信号機の電子音が混ざり合い、相手が屋外からかけてきていると察した。
「もしもし?」と再び呼びかけると、か細い声で『あ……』と少女の声が返ってきた。
『……ママ?』
息が詰まる。昨日、公園で聞いたばかりの、あの少女の声だ。
『ひま、ママに会いにきたの。でも、どこに行けばいいかわからなくて……』
「ひまちゃん? 昨日、公園で会った女の子……よね?」
『……うん。ママ、どこにいるの?』
宝瑠は声をひそめて「ちょっと待ってね」と言い添える。即座に席を立ち、フロアを出て廊下の隅へ移動した。
「私に会いに来たって……どういうこと? お父さんは一緒じゃないの?」
座ったまま、小さく伸びをし、「うん」と声を漏らした。
そのタイミングを見計らったかのように、スマホが軽快な音を鳴らす。すぐさま鞄に手を伸ばし、画面を確認した。
表示されたのは、登録のない十一桁の見知らぬ番号。
クライアント先の誰かだろうと予想し、「はい、四ノ宮です」と淀みなく応答する。
『………』
沈黙。そして雑踏の気配。
車の排気音や信号機の電子音が混ざり合い、相手が屋外からかけてきていると察した。
「もしもし?」と再び呼びかけると、か細い声で『あ……』と少女の声が返ってきた。
『……ママ?』
息が詰まる。昨日、公園で聞いたばかりの、あの少女の声だ。
『ひま、ママに会いにきたの。でも、どこに行けばいいかわからなくて……』
「ひまちゃん? 昨日、公園で会った女の子……よね?」
『……うん。ママ、どこにいるの?』
宝瑠は声をひそめて「ちょっと待ってね」と言い添える。即座に席を立ち、フロアを出て廊下の隅へ移動した。
「私に会いに来たって……どういうこと? お父さんは一緒じゃないの?」



