八月初旬に、旅行を兼ねて実家に帰るつもりだと伝えると、母はアッと息を呑んでいた。
『どうしたの、いきなり! いったいどういう風の吹き回し??』
頓狂な声まで上げていた。
母の手前、“ママ契約”などという胡散臭い話はできない。宝瑠は事前に天喜と口裏を合わせ、体裁を取り繕った。
「実は今……。お付き合いしている人がいて。その人と一緒に暮らしてるの」
『彼氏? じゅえちゃん、彼氏ができたの?』
「そう。彼、子持ちなんだけど……すごくいい人で。お母さんにも会ってみたいって言うから……それで」
『いいわよぉ、そういうことなら大歓迎っ! 当日はお寿司をとろうかしら? ああ、でもお子さんがいるのよね? 何歳ぐらいの子? 男の子? 女の子? お母さんにも孫ができるってことよね? ねっ、じゅえちゃん、彼とその子の写真送ってちょうだい?』
「はぁ? ちょっとやめてよ、はしゃぎすぎだってば。また当日が近づいたら連絡するから、じゃあねっ」
宝瑠は電話口で浮き足立つ母を想像し、さっさと電話を切り上げた。会話の一部始終を見ていた天喜は、「会話丸聞こえ」と言い、眉を下げて笑っていた。
「いいお母さんじゃん?」
宝瑠は、どこか納得がいかないような顔つきで頬を膨らませた。普段は結婚について口うるさく、見合い話ばかりを振ってくる母だからだ。天喜は知らないから、とつい言いたくなった。
『どうしたの、いきなり! いったいどういう風の吹き回し??』
頓狂な声まで上げていた。
母の手前、“ママ契約”などという胡散臭い話はできない。宝瑠は事前に天喜と口裏を合わせ、体裁を取り繕った。
「実は今……。お付き合いしている人がいて。その人と一緒に暮らしてるの」
『彼氏? じゅえちゃん、彼氏ができたの?』
「そう。彼、子持ちなんだけど……すごくいい人で。お母さんにも会ってみたいって言うから……それで」
『いいわよぉ、そういうことなら大歓迎っ! 当日はお寿司をとろうかしら? ああ、でもお子さんがいるのよね? 何歳ぐらいの子? 男の子? 女の子? お母さんにも孫ができるってことよね? ねっ、じゅえちゃん、彼とその子の写真送ってちょうだい?』
「はぁ? ちょっとやめてよ、はしゃぎすぎだってば。また当日が近づいたら連絡するから、じゃあねっ」
宝瑠は電話口で浮き足立つ母を想像し、さっさと電話を切り上げた。会話の一部始終を見ていた天喜は、「会話丸聞こえ」と言い、眉を下げて笑っていた。
「いいお母さんじゃん?」
宝瑠は、どこか納得がいかないような顔つきで頬を膨らませた。普段は結婚について口うるさく、見合い話ばかりを振ってくる母だからだ。天喜は知らないから、とつい言いたくなった。



