札幌刑務所に到着し、宝瑠と天喜は受付棟へ向かった。面会申請書に必要事項を記入し、身分証を提示する。面会の理由や関係性について簡単な確認を受けたあと、所定の待合室でしばらく待機するよう指示された。

 数十分後、係員に呼ばれ、面会室へ案内された。アクリル板で仕切られた狭い空間に天喜と横並びに座った。簡素なパイプ椅子の冷たさが、静かに背筋を這った。

 宝瑠は膝の上で組んだ手をぎゅっと握りしめた。

 本当に瑠奈が、ここに……?

 そう思うと心拍が自然と早くなる。瑠奈と会うのは、高校卒業以来。会えなくなって、かれこれ十一年もの歳月が流れていた。

 瑠奈は……私のこと覚えてるかな。天喜の手紙から、ある程度の説明はあったかもしれないけど。「いきなり来て、どういうつもり?」って思われないかな?

 私の記憶の中では、あのころの瑠奈で時間が止まっているけれど。今となっては、色々と変わっているかもしれない。

 固い表情で俯く宝瑠を、天喜が横目に見つめ、眉を下げた。

 アクリル板の向こうから、扉の開く気配がした。ギィ、と低い音が鳴り、誰かが入って来る。

 灰色の作業服らしき服装をした女性が面会室へと姿を現した。髪はいくらか長く、後ろでひとつに結んでいた。

 目の前に置かれたパイプイスに腰を据え、彼女がゆっくりと口を開いた。