天喜のあとに続いてカウンター奥のボックス席へと移動した。後ろ手に鞄を下ろしながら、彼の顔も見ずに言う。
「小野寺くんに頼んだの?」
向かい側のソファに天喜が座り、「まぁな」と低い声が返ってくる。彼は帽子とマスクを外して、テーブルの端に置いた。
やっぱり、小野寺を介して間接的に連絡を取ってきたんだ。少しだけ呆れる気持ちもあったけれど、それ以上に——天喜が自分に会いに来てくれたことが、素直に嬉しかった。
「今日……ひまちゃんは?」
「小野寺さんに預けてる」
「……えっ、そうなんだ?」
「ひま、小野寺さんと前に会ってるんだな? さっき連れて行ったら、“このおじさん知ってる”って言ってた」
天喜に言われて、ふと思い出した。そう言えばゴールデンウィークに入る前日、会社付近の喫茶店でお昼を食べさせているときに小野寺と出くわしたはずだ。
宝瑠はそのときのことを頭に思い浮かべ、「そうね」と頷いた。
「このバー、天喜の行きつけなの?」
先ほど、何となく感じたことを尋ねると、彼が「なんで」と目で訊いてくる。
「あのマスターと……ずいぶん親しそうだったから」
宝瑠は後ろを振り返り、カウンターがある方向を見つめた。ここからだとマスターの姿は見えなかった。
「あの人……俺の親代わりみたいなもんだから」
「……え?」
「小野寺くんに頼んだの?」
向かい側のソファに天喜が座り、「まぁな」と低い声が返ってくる。彼は帽子とマスクを外して、テーブルの端に置いた。
やっぱり、小野寺を介して間接的に連絡を取ってきたんだ。少しだけ呆れる気持ちもあったけれど、それ以上に——天喜が自分に会いに来てくれたことが、素直に嬉しかった。
「今日……ひまちゃんは?」
「小野寺さんに預けてる」
「……えっ、そうなんだ?」
「ひま、小野寺さんと前に会ってるんだな? さっき連れて行ったら、“このおじさん知ってる”って言ってた」
天喜に言われて、ふと思い出した。そう言えばゴールデンウィークに入る前日、会社付近の喫茶店でお昼を食べさせているときに小野寺と出くわしたはずだ。
宝瑠はそのときのことを頭に思い浮かべ、「そうね」と頷いた。
「このバー、天喜の行きつけなの?」
先ほど、何となく感じたことを尋ねると、彼が「なんで」と目で訊いてくる。
「あのマスターと……ずいぶん親しそうだったから」
宝瑠は後ろを振り返り、カウンターがある方向を見つめた。ここからだとマスターの姿は見えなかった。
「あの人……俺の親代わりみたいなもんだから」
「……え?」



