指定された店は、駅から少し外れた裏通りにひっそりと佇んでいた。目立った看板もなく、深い木目のドアに、擦れた真鍮のプレートが一つ。そこにさりげなく店名が彫られていた。
人目を忍ぶように、静かに存在する店を見つめ「……ほんとにここ?」とつい独り言をもらした。ラインに届いた写真を確認すると、その店なのは間違いなかった。
小野寺に指定された店だというのに、あまりにも雰囲気が良すぎて、思わず身構えてしまう。まるで、大人の“隠れ家”。それこそ、不倫や密会に使われるような、それっぽいムードが漂っている。
ここってショットバー……? なんで普通に居酒屋とかじゃないの?
いくらか胸の奥がざわつくものの、意を決して重い扉を押し開けた。頭上でカラン、とカウベルが鳴った。
中に足を踏み入れると、外の喧騒がふっと遠のいた。
照明は控えめで、落ち着いたジャズが流れている。店内はこぢんまりとしていて、間接照明の温かな光が、深い色合いの木目や琥珀色のボトルを柔らかく照らしていた。
L字型のカウンターの中では、白髪まじりのマスターが無言でシェイカーを振っている。無駄な動きがひとつもない、熟練された所作だった。
人目を忍ぶように、静かに存在する店を見つめ「……ほんとにここ?」とつい独り言をもらした。ラインに届いた写真を確認すると、その店なのは間違いなかった。
小野寺に指定された店だというのに、あまりにも雰囲気が良すぎて、思わず身構えてしまう。まるで、大人の“隠れ家”。それこそ、不倫や密会に使われるような、それっぽいムードが漂っている。
ここってショットバー……? なんで普通に居酒屋とかじゃないの?
いくらか胸の奥がざわつくものの、意を決して重い扉を押し開けた。頭上でカラン、とカウベルが鳴った。
中に足を踏み入れると、外の喧騒がふっと遠のいた。
照明は控えめで、落ち着いたジャズが流れている。店内はこぢんまりとしていて、間接照明の温かな光が、深い色合いの木目や琥珀色のボトルを柔らかく照らしていた。
L字型のカウンターの中では、白髪まじりのマスターが無言でシェイカーを振っている。無駄な動きがひとつもない、熟練された所作だった。



