手紙を持つ手が震えていた。唇も小刻みに震え、途端に歯の根が合わなくなる。
なに……? これ。
瑠奈って……だれ?
“瑠奈の隣に写ってた女の子”って、“携帯の写メ”って。この言い方だと、まるで私が写ってたみたいじゃない……?
瑠奈って……もしかして。
無意識に鼓動が早くなっていた。胸の奥が熱く疼き、その熱が喉の奥をじんわりと灼く。まぶたが熱を持ち、宝瑠は感情が溢れるのをせき止めようと鼻をすすった。
床に落ちた紙束の中に、その答えがあるのではないかと思った。震える指先で重なり合った書類を確認し、一通の黄ばんだ封筒に目が留まった。
「……は?」
思わず乾いた吐息がもれた。
差出人名の欄には、北海道にある刑務所の名前が記載されている。
なにこれ……。
宝瑠は中の書類をつまんで引っ張り出した。A4サイズの事務的な書類だ。紙面の左上には札幌刑務所総務課という単語が印刷されている。中央には【面会登録に関する確認書】と書いてあった。
【受刑者:坂井瑠奈との面会を希望される方は、下記内容にご留意ください。】
素っ気ない文面の中に、目を見張る名前が書かれている。
「受刑者……坂井瑠奈?」



