天喜は蛇口の湯を止めて、そばにかけたタオルで手を拭いた。
「前に言ったよな? まだ諦めてなかったの?」
「ちが、その、あの子のためとかじゃなくて」
「じゃあなに? 宝の自己満?」
……あ。
小野寺と交わした会話を思い出す。
——「私自身が納得するために、やっぱり探してみようと思う」
あの言葉をそう解釈されたら、確かにそうなるのかもしれない。
私の……自己満足。
宝瑠は無言で俯き、小さく顎を引いた。ハァ、と天喜のため息が聞こえた。
「別に今のままで良くない?」
「……え」
「ひまは毎日楽しそうだし。宝が帰ってきたら嬉しそうにしてる」
言いながら彼は、夢中でテレビを見つめる娘に温かな眼差しを向けた。
「いったいなにが不満なわけ?」
……不満?
宝瑠は眉を寄せ、言葉に詰まった。不満なんて……ない。そんなシンプルな感情じゃ説明がつかない。
宝瑠は胸の内に溜まったモヤモヤを、どうにか言葉にしようとした。
しかしながら、無言になった宝瑠を、天喜は待ってくれなかった。宝瑠が手にした布巾をスッと取り上げた。
「あとは俺がやっとくから。早く風呂入れば?」
天喜の声がいつもより冷たく聞こえた。宝瑠は「うん」と返事をするので精一杯だった。
「前に言ったよな? まだ諦めてなかったの?」
「ちが、その、あの子のためとかじゃなくて」
「じゃあなに? 宝の自己満?」
……あ。
小野寺と交わした会話を思い出す。
——「私自身が納得するために、やっぱり探してみようと思う」
あの言葉をそう解釈されたら、確かにそうなるのかもしれない。
私の……自己満足。
宝瑠は無言で俯き、小さく顎を引いた。ハァ、と天喜のため息が聞こえた。
「別に今のままで良くない?」
「……え」
「ひまは毎日楽しそうだし。宝が帰ってきたら嬉しそうにしてる」
言いながら彼は、夢中でテレビを見つめる娘に温かな眼差しを向けた。
「いったいなにが不満なわけ?」
……不満?
宝瑠は眉を寄せ、言葉に詰まった。不満なんて……ない。そんなシンプルな感情じゃ説明がつかない。
宝瑠は胸の内に溜まったモヤモヤを、どうにか言葉にしようとした。
しかしながら、無言になった宝瑠を、天喜は待ってくれなかった。宝瑠が手にした布巾をスッと取り上げた。
「あとは俺がやっとくから。早く風呂入れば?」
天喜の声がいつもより冷たく聞こえた。宝瑠は「うん」と返事をするので精一杯だった。



