休日のショッピングモールは、相変わらずの混みようだった。
昼時のフードコートなんて特に、空いている席を探すので一苦労だ。どこの家族連れも同じで、空席をめぐって右往左往している。
宝瑠はようやく見つけた四人掛けのテーブルにさっと日葵を座らせて、天喜に声をかけた。
「ここ、空いてる」
天喜は目を細めて頷き、「じゃあどうする?」と言葉を続けた。
「先に俺とひまの分、買ってきて……宝はあとでもいいか?」
「うん、大丈夫。ひまちゃんと待ってるから」
「パパーっ、ひま、ハンバーガーが食べたい!」
「わかってるって」
少し離れたところで天喜が手を挙げて答えた。彼はそのままガヤガヤとした人混みに消えていく。
宝瑠は周りを見渡しながら、ひとまずは確保した席についた。ウォーターサーバーを設置した場所を見つめ、小さく息をつく。
先に三人分の水を入れておきたいけど、ひまちゃんをひとりにしたら天喜は怒るだろうな……。ご飯が揃ってからでもいい。やめておこう。
日葵はゲームセンターで手に入れたプリンセスの玩具を見つめ、鼻歌を口ずさんでいた。先ほど、天喜がクレーンゲームで取ったものだ。
日葵を見て、宝瑠はふっと微笑んだ。
ゲームクリエイターって、ああいうゲームも得意なのね……。



