廊下にはすでに誰もおらず、丸い照明が静かに足元を照らしていた。
「あの。四ノ宮チーフ」
「……なに?」
「今日、カフェスペースで見かけて……なんか、その……。ここのところ、やけに小野寺先輩と親密じゃないですか?」
「え、そう?」
軽いチャイムのような電子音が鳴り、銀色の扉が開く。宝瑠は佐伯を一瞥し、下りのエレベーターに乗り込んだ。一階のボタンに軽く指先で触れた。
「チーフ、こう言ったらなんですけど。チーフにはそういうの……似合わないですよ」
佐伯はどこを見るわけでもなく、やや俯き加減で固い声を出した。
「そういうのって?」
彼がなにを言わんとしているのかわからず、宝瑠は曖昧に首を傾げた。
佐伯は言いにくそうに、唇を曲げ、わずかに顔をしかめた。
「……小野寺先輩、既婚者じゃないですか」
「ええ、そうね……」
ぽつりと返事をしてから、また間が開く。ピンポン、と到着音が鳴り、扉が開いた。その瞬間、ようやく彼の言いたいことを理解する。反射的に口を開いた。
「はぁっ!??」
宝瑠の大袈裟すぎる突っ込みに、佐伯は虚をつかれ、しばし無言で目を瞬いた。
「佐伯……、なにか勘違いしてない? 小野寺くんは、ただの同期、友達よ?」
「……本当にそれだけですか?」
「それ以外になにがあるのよ? 彼に失礼よ」
「あの。四ノ宮チーフ」
「……なに?」
「今日、カフェスペースで見かけて……なんか、その……。ここのところ、やけに小野寺先輩と親密じゃないですか?」
「え、そう?」
軽いチャイムのような電子音が鳴り、銀色の扉が開く。宝瑠は佐伯を一瞥し、下りのエレベーターに乗り込んだ。一階のボタンに軽く指先で触れた。
「チーフ、こう言ったらなんですけど。チーフにはそういうの……似合わないですよ」
佐伯はどこを見るわけでもなく、やや俯き加減で固い声を出した。
「そういうのって?」
彼がなにを言わんとしているのかわからず、宝瑠は曖昧に首を傾げた。
佐伯は言いにくそうに、唇を曲げ、わずかに顔をしかめた。
「……小野寺先輩、既婚者じゃないですか」
「ええ、そうね……」
ぽつりと返事をしてから、また間が開く。ピンポン、と到着音が鳴り、扉が開いた。その瞬間、ようやく彼の言いたいことを理解する。反射的に口を開いた。
「はぁっ!??」
宝瑠の大袈裟すぎる突っ込みに、佐伯は虚をつかれ、しばし無言で目を瞬いた。
「佐伯……、なにか勘違いしてない? 小野寺くんは、ただの同期、友達よ?」
「……本当にそれだけですか?」
「それ以外になにがあるのよ? 彼に失礼よ」



