AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。

 旅館の外に出ると、すでに日が暮れかけている。今日の夜の便で帰るはずだったのに、今からじゃ到底間に合わない。天喜は腕時計に目を落として、小さく息をついた。

「アキくん、ありがとうっ。本当に、本当にありがとうっ」

 レンタカーに向かって歩く天喜に駆け寄り、彼女が深々と頭を下げた。

「いいよ別に。こっちもいい暇つぶしになったから」

 天喜はひそかに眉を寄せ、ふいとそっぽを向いた。ぶっきらぼうな答え方がいかにも自分らしい、心の中でつい苦笑してしまう。

 他人に感謝されるのは慣れていない。うっかり嬉しいと感じてしまう自分が嫌だった。ありがとうと言われたくてしたわけじゃないからだ。

「じゃあ」

 挨拶もそこそこに運転席へキーを向ける。ふいに背後から重みとぬくもりを感じた。振り向かなくてもわかった。

 A子が抱きついていると察して、「どうした?」と尋ねた。

「まだ離れたくない」
「……はい?」
「今日が終わるまででいい。アキくんと一緒にいたい」

 天喜は振り返り、A子をゆっくりと引き剥がした。

「せっかく採用が決まったのに。クビになるぞ?」
「大丈夫。女将さんには、荷物を取りに行ったら明日また来ますって伝えてきたから」
「……ちゃっかりしてる」
「それ、別の人にも言われた」

 A子は目を細めて、過去を懐かしむように笑った。