AI生成でママにされた私は、シングルの年下クズ男子に再構築されています。

 壁掛け時計はすでに九時を回っている。日葵はすっかり夢の中だ。

 宝瑠はディッシュクロスで食器を拭き、順に棚へと仕舞っていた。

「たとえばご飯ひとつにしても、きちんとしてるよね。主菜副菜汁物を作って、野菜も添えて。栄養面も考えて作ってくれたのかなって思って……大事にされてたんだね」

 天喜は宝瑠からスッと目を逸らし、「別に、そんなことないけど」とやや不服そうに口を尖らせた。

「宝はどうなんだよ」
「……え?」
「親。なにかしてもらってねーの?」

 温度のない単調な声を聞き、宝瑠はふっと苦笑を漏らした。

「そうね。あんまり、してもらってないかな」と言い、残りの皿を戸棚に積んだ。

「私、実家が静岡でね。母子家庭で育ったんだけど。母が家事得意じゃなくて……正直、お弁当を作ってもらった記憶もほとんどないの」
「……へぇ。そうなんだ?」
「うん。動物園とか水族館とか……学校行事の遠足とか修学旅行でしか行ったことないし。変な話、大人になってから行って、めちゃくちゃ新鮮だった」

 ふふっと微笑む宝瑠を見つめ、天喜がどこか神妙な顔つきになった。

「なにか飲む?」と天喜に聞かれた。彼はポットに湯を沸かす準備をしている。

「じゃあ、この前飲んだハーブティがいい」
「わかった」

 言いながら、天喜はカウンターテーブルにマグカップを二つ出して並べた。

「高校生のころにね」と宝瑠はまた別の話題を振った。スツールに腰掛けた。